長いお休みの自由研究に大阪府議会議場見学はいかがでしょうか
大阪府では一般向けに日程を決めて府議会議場見学を行っていらっしゃいます
先日私もインターネットで申し込んで見学させていただきました
少し早めに行って府庁舎を見学
大阪府庁舎は国の登録有形文化財にも指定されている日本の都道府県庁舎で現存する最も古い庁舎です
とはいえこちらは三代目
2代目は西区江之子島にありました
大正15年にこちらの三代目庁舎が完成
設計は一般公募により平林金吾氏の設計に岡本馨氏が手を加えたものが選ばれました
鉄筋コンクリート造りで屋根が水平なのは勾配屋根が多かった当時としては珍しいモダンな設計で中央の車寄せや入口に集中して装飾を施し窓廻りにも直線の装飾があります
セセッション様式といわれる建築様式で
セセッションとは分離派のこと
過去の芸術様式から分離して生活や機能と結びついた新しい造形芸術の創造をめざした建築ということのようです
壁面上部にあるこちらの装飾には府の花の「梅」と鳳凰のような鳥が彫られています
府の花が梅なのは古今和歌集に由来します
序文に
「なにはづに 咲くやこの花 冬ごもり
今は春べと 咲くやこの花」
とあり「なにはづ」は「大阪」のこと
そして「この花」とは「梅」のこと
この大阪の春を詠んだ歌から「梅」が府の花として選ばれたそうです
ちなみに映画「ちはやふる」でも人気になったかるたの競技会では
試合が始まる際に競技と関係なく序歌といわれる最初の1首が読まれるのですが
日本かるた協会が行う競技会ではその序歌にこの「なにはづに」の歌が選定されているそうです なんだか嬉しい!
こちらは玄関車寄せの装飾柱
紫雲石(しうんせき)といわれる石で出来ており雨に濡れると紫色に変わるそうです
ただし現在は保護されており色は変わらないとのこと 残念!
こちらは車寄せからの景色
ここで車を降りた人たちはまず大阪城の景色に出迎えられます
柱が額縁のようですね
振り返るとこちらは玄関
紫雲石との繫りなのかしら葡萄の装飾があしらわれています
府の方にあとで入口の葡萄に意味があるのか聞いてみましたがよくわからないとのこと
で ここからは私の想像ですが
葡萄はたくさん実がなることから成功の象徴であったり縁起物でもあります
また今も大阪といえば交野市や柏原市が葡萄の産地として有名ですが
実はその歴史は古く 明治初期から栽培が始まり府庁舎完成の2年後の1928年~1931年の3年間と1933年~1935年までの2年間ブドウの栽培面積 大阪が全国1位だったそうです
その後ブログに書いた水門のお話でも触れた大阪を襲った室戸台風により葡萄畑が大打撃をこうむり栽培する農家が減少したそう
ですが現在でも大阪は全国7位から9位あたりを行ったり来たりする葡萄の産地
我が家も羽曳野の親戚から少し前まで毎年葡萄が送られてきていました
そんな 当時縁起もよく栽培も盛んだった葡萄をあしらうことで大阪の府政が実り多いものであることを祈ったのではないかと想像しましたが いかがでしょうか
天井の照明周りには八角星
八角星は八から末広がりなどの目出度い意味と「調和」という意味があるそうです
たくさんの人々の意見を聴く府庁舎だからこそ必要な「調和」
現代の世界にも最も必要なもののように思います
左手に受付があり手続きをして入ります
右手には昔使われていたであろう入口があり大変美しいガラスの扉でした
フォントフェチの私にはキュンとする文字の案内を抜けて入ると
そこには豪華な吹き抜けのエントランスがありました
こちらの中央ホールは3階まで吹き抜けで
12本の柱はイタリア産の大理石です
すみに2代目庁舎の模型があります
階段を上ると高いところ隅々まで細かい装飾を見ることが出来ます
2階には昔使われていた受付がありました
こちらが今日見学させていただける議場の入口です
時間になると受付が始まり中に案内して下さいました
こちらは永年勤続議員の方々のお写真
クラッシックな入口を入ると天井のあかりとりからの光で思ったよりも明るい空間が広がります
議長席と速記者などの席
大阪府の旗が掲げられています
ちなみに大阪府章の意味は
OSAKAの「O」の字を基調として大阪の希望(明るく)・繁栄(豊かで)・調和(住みよい)を上部三方へのびる円で表している
また商都大阪の繁栄の基礎をつくった豊臣秀吉にちなむ「千成びょうたん」を抽象図型化しながら全府民の連帯性とその力の結集による無限の可能性を表象したものである
ということでした
千成瓢箪は前回「鯛の押し寿司」で説明した通り大阪城の城主太閤秀吉の馬印(うまじるし 戦場で本陣を示すため長柄の先につけた印)が瓢箪だったことから大阪ではよく使われる印です
数々の時代 様々な議員がここに座り大阪をより良くするために議論を重ねてきました
こちらは報道席
そしてこちらは
議会を傍聴する市民が眺める景色
議会が開催されている期間は誰でも傍聴することが出来ます
今は公共の場所での禁煙は当たり前になりましたが昔はどこでも煙草が吸えました
けれど議場では禁煙
かつての名残の大きな注意書きがありました
下は議員の残りの質問時間を表示するボード
過ぎるとマイナス表示になります
府の職員の方が丁寧に案内して下さり議長席にも座らせて下さって記念撮影も出来ました
様々な装飾に興味のある方
議会運営に興味のある方
様々なきっかけで皆さん見学に来られていたようです
時間となり係の方に御礼を言って議場を退出
その後またしばらく館内を探検しました
府庁舎内には報道各社の控室があります
テレビ 新聞 ラジオ 入口は各社の個性が垣間見えます
大変歴史を感じるエレベーター
色も独特です が
中は普通にメンテナンスされているエレベーターでした 安心(笑)
大変歴史ある建物ですが館内は隅々まで清掃が行き届き 途中清掃されている方とすれ違いましたが心をこめてお掃除されている姿にあぁ この建物は愛されているんだなぁ
と感じました
近代の大阪の歴史を造り続けてきた府庁舎
そしてこれからも
大阪の歴史を紡ぎ未来の大阪の歴史がここで創られていくのでしょう
階段下には大阪のマスコットキャラクター
「もずやん」のパネルがありました
エックスのもずやんの呟きをフォローしているのですが面白くてたまに「いいね」しちゃいます
裏に密かにもずやんのサインがあります
小学生の時に作った自分のサインと似てる(笑)
今回は議場の見学でしたが
府庁舎の中には正庁の間といわれる豪華な部屋があるそうでコロナで見学会が中止されていましたが現在再開されたようです
正庁の間はかつて執務室として使われていたり 年末年始の行事や人事発令の式典で使用されていたお部屋
正庁の間にある内部のステンドグラスは国内最大級で 切妻屋根を模したペディメントや柱の間をアーチ状に装飾するなど大変凝った造りの部屋となっているそうです
また壁に歯車を持った天使のメダリオンの装飾がありこれは工業の町大阪を表しているとのこと
長い歴史のうちに傷んだ部屋は
2011年に復元 改めて美しく保存されました
いつもニュースで見ていた大阪府庁舎ですが こんなに歴史ある素晴らしい建物とは全く知りませんでした
私たちの選んだ知事や議員が
毎日見ている景色を知ることが出来て
より府政を身近に感じることが出来たように思います
日本一歴史ある府庁舎から眺める大阪は
少し誇らしく思えました