急遽都合がつかなくなった
明日の主人の散髪
キャンセルの電話を入れるも
運悪く定休日で。。
「明日朝イチで電話するから「散髪」ってメモしておいて」
と言われメモ用紙を探したけれど
手近には娘の部屋の作文用紙しかなく
昔を懐かしんで
「散髪」とタイトル風に書いたところ
なんとなく続きが書きたくなりました
これなら絶対キャンセルの電話をするの
忘れない?よね
「散髪」
「何もかも アイツが悪いんだ!!」
タケルはそう叫ぶと
やおら海に向かって走り出した
「ちょ 待てよ!」
俺は慌ててタケルの後を追って走り出した
夏の風が 汗ばんだ体にまとわりつく
「塩のせいか」
感情は激しく高ぶっていたが
意外と冷静な自分に少し驚いた
ここまで俺たちを怒らせるのには訳がある
ここ数ヶ月に起こった出来事が走馬燈のように頭のなかを過ぎていった
そして今日
アイツはよりによって俺たちが大切に残しておいた打ち上げ花火を勝手に盗ったのだ
しかも
俺たちが密かに想いをよせていた
ヨウコを誘って海に出かけて。
俺は走り続けるタケルを必死で追いかけた
「アイツ何発盗ったんだ!」
走りながらタケルは叫んだ。
「3発だ!!」
走りこんだ砂浜には二人の影が
打ち上げた花火に彩られ
華やかに浮かび上がっていた
靴底に紛れ込んだ砂の粒が
胸の痛みと共にひどく傷んだ
「メモしといてくれた?」
と聞く主人に はい。と渡すと
「ナニコレ?」
と声に出して読んで大爆笑(笑)
もちろん翌朝
一番でキャンセルの電話を入れていました
忘れない方法 一つゲットです