美味しいしあわせ

くつろぎのひと時のお料理やお菓子とお酒 季節の花と緑

ギムレットの女


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いつもとは趣向を変えて

今日はハードボイルドにカクテルをご紹介

レシピは最後に載せています

高校の頃 友人達と配役を決めて

ハードボイルド小説を書き繋いでいく

という遊びをしていました

お酒といえば 私にとってはレイモンドチャンドラーであり E・Sガードナーであり

北方謙三なのです♫

しばし 余興にお付き合いをf:id:habbule-no-neko:20230628231208j:image

ギムレットの女」

俺の名はJ

とある街で しがない探偵をやっている 

依頼人の秘密は厳守

だから今日あったことは誰にも喋らない

ただ もて余す苦い気持ちを

紛らわせるために 

このBARにやってくる

              カラン♪

バーテンダーのNが無言で頷く

俺はいつものカウンターに座り 酒を頼む

ギムレットを」

今夜の雨が 思い出させた或る女

そいつはコルトレーンのサックスのような柔らかな雨の匂いのする女だった

「まだ帰りたくないナ」

初めてこの店で会ったその女は 

どうやら 振られたばかりで

流れるような黒髪を揺らして

この店にやって来た

赤い眼をして 怒っているのか悲しいのか

わからない

そんなふうだった

ギムレットを」

そう言って静かなため息をつくと

外したばかりの指輪の跡を右手の指でなぞり 

瞳を潤ませた

初めは静かに飲んでいたが

こういう手合はなんでもきっかけにしてしまう

そのうち俺に どんなふうにして彼氏に別れ話をされたのか 

ひとり こと細かに話を始めた

そして言う

「少し飲み過ぎかしら

でも

今夜はまだ帰りたくないナ」

悲しげに 

しかしちゃんと自分の値打ちはわかっている 

そんな微かな光をおびた眼で俺を見つめる

「君がいつかまたここで 

ギムレットを飲む時

こんな投げやりな夜もあったことを

笑顔で思い出せるように 

今夜は帰った方がいい

君は 君が知っている通り 

充分 魅力的な女だから」

そう言われた時の女の 

見透かされたような表情が 

窓ガラスを静かに濡らしていく雨の向こうに浮かんだ

Nの太い指につままれた

グラスの細いステムが突き出される

「どうぞ」

キラキラと光る濁った白が 

純潔を装った手練れの女のように妖しく輝く

ギムレット

そんな風な 女だった

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☆レシピ☆

ギムレット

シェイカーだけは買って用意して下さい

ずっと使えるので カクテルにあきたらモクテル(ノンアルコールのカクテル)でも

混ぜるのに便利です

メジャー(45mlと30mlが上下で測れるもの)もあると便利です

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(材料)

ライジン 40ml

三温糖 1tsp(ティースプーンに1杯)

ライム果汁 1/4個分

氷 適量

(作り方)

・シェイカーですべて合わせ 氷をたっぷり入れてシェイクすれば出来上がり

 

ですが

美味しく作るにはコツがあります

一番のコツは楽しんで作ること

なので 全部やろうとして面倒に感じるなら

こだわらずに作ってみて下さい♫

ただ こだわればこだわるほど美味しくなるのがカクテルで(笑)

自分に合ったやり方をチョイスして

まずはエンジョイ!して下さいね♫

[温度]

冷たければ冷たいほどカクテルは美味しく仕上がります

・アルコール度数の高いお酒は冷凍庫で保存

アルコール度数が高ければ 凍りません

・グラスを先に冷やしておく

ジョッキなどは冷凍庫で保管

カクテルグラスは割れやすいので冷凍庫に入れず 直前にグラスにたっぷり氷を入れて クルクル回し グラス全体が汗をかくくらいに冷やす

[氷]

氷には2種類あります

製氷皿で作った家庭の氷と

スーパーなどで買う氷

(買ってきた氷がいい2つの理由)

・氷がいいお水で作られていること

・出来上がったカクテルの冷えが長持ちすること

買ってきた氷は家庭の氷より溶けにくいので

シェイクして細かく削られた氷の混ざったカクテルは 冷えた状態のまま 家庭の氷より美味しい冷たい状態が長持ちします

ちなみに

買ってきた氷をシェイカーに入れる時には

大きければ砕いて入れていきます

私はまな板の上でビニール袋に入った氷を たこ焼きをひっくり返す千枚通しのような道具で上からついて砕きます

なければ麺棒などで上から叩くのもあり

くれぐれもプロのバーテンダーさんのように

手のひらの上で氷をついたりしないで下さいね

素人がやるとすごく危険です 

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❲シェイカーの使い方❳

(シェイカーの部分名称)

ボディ(材料を入れる)

ストレーナー(濾すもの) 

トップ(蓋)

(使い方)

氷と材料をあわせた段階で 氷は溶けていっているので作業は手早く行います

グラスに氷を入れて冷やしていたら その氷と溶けた水分を捨てて冷えた状態でスタンバイさせます

・ボディに材料を入れて氷を上まで入れます

ストレーナーとトップで蓋をする

・トップは中の空気を抜くために一度蓋をとって もう一度蓋をし直す

・シェイカーを 蓋を押さえるように全体を押さえ持ち 振る

・グラスにシェイカーのトップをとってストレーナーごしに中の飲み物を振りながら最後の一滴まで注ぐ

・グラスのフチに先程絞ったライムの皮をこすりつけるか グラスの上で軽くひねって皮から飛ぶ香気をまとわせて出来上がり

 

シェイカーの振り方はユーチューブでたくさん動画が出ていますが 

要は冷やして空気を含ませればいいので

ご自身の楽な方法で振って下さい

肝心なのは シェイクすることで氷を削り細やかな氷の混ざった飲み物にすること

そして空気を混ぜ合わせて強いアルコールの角をとること

こうすることで バラバラだった素材の味が一つになり 上質なカクテルへと仕上がります

角が取り切れずアルコールを強く感じたり

シェイクし過ぎて薄く仕上がったり

やはりなかなか本当に

美味しい一流のカクテルを作るのは難しいと 

バーテンダーさんの偉大さがしみじみわかります(笑)

が それでも 

何度か作ると逆に自分好みのシェイク加減が いつでも家庭で手軽に味わえます

寝る前に自分好みのギムレット

一日を終えられるなんて 

幸せなことこの上ありません

つい先日まで逆流性食道炎でジタバタしていた私がいうのだから 間違いはありません(笑)