美味しいしあわせ

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家の味 白味噌


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味噌仕込む 母の手の皺 深くなり

              エルスカ

「味噌仕込む」は 冬の季語

結婚して初めての冬からずっと 義母に当家に伝わるお味噌の作り方を教わってきました

お味噌仕込みは力仕事

いろんな作り方がありますが 我が家のものは 捏ねて捏ねて捏ねて作ります

両親と 私たち家族 私の実家にも。。

と合計5升の米糀を使って お味噌を作ります

一度に5升は大変なので2回にわけて

一人では大変なので 義母と二人で

あっちとこっちから両方で作業をし 

最後に全部合わせて私が捏ねます

水分のあんばいが一番難しく 毎年義母と「もうちょっと?もうちょっとかなぁ?」

と相談しながら作り続けてきました

何年か前から前日の準備は義母が

当日捏ねるのは私 ということに

我が家の味噌問題が私にかかっており 

責任重大です(笑)

いつまでも若々しい義母ですが 共に過ごした味噌仕込みの時期を思い返すに 

そういえば結婚した当初に比べると手の皺が深くなったかしら。。

普段じっと眺めることのない義母の手ですが 味噌仕込みの時には間近に見つめます

間近に見る「母の手」に 義母の「家」に尽くす姿を見るようで。。

自ずと感謝の気持ちがわいてきます

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米糀は堺にある かつて宮中にも納めていた300年を超える老舗のお店から毎年取り寄せています

以前 作っている所を見せて頂いてもいいですか?

とお願いしたところ 心よく奥まで案内して下さって 本当に情熱をもって作っていらっしゃることが伝わるお店でした

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こちらは茹でて潰した大豆

大豆は多少粒が残っていてもOKです

茹でるときは 煮上がりに残る水分量を見越した量のお水で茹でて下さい

茹で汁は必ず取っておいて下さいね♪
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作り方のだいたいの流れは

2日前に大豆を浸水 前日に大豆をゆで 当日仕込む

1ヶ月壺で寝かせて 最後にミキサーですり潰して完成となりますf:id:habbule-no-neko:20201223171406j:image

 

☆レシピ☆

 

「家の味 白味噌

※材料の他にこねる用の桶 寝かせる用の壷 出来上がったお味噌の保存容器が必要です

 

(材料)家族4人の1年分

23×31×10cmのタッパー1つ分

〈大豆の準備〉

乾燥大豆 560g

大豆を浸水しておくための水 2500ccほど

茹でるための水 4000ccほど

※上記は普通のお鍋で茹でる場合の目安の分量です

圧力鍋など鍋の種類によっても必要な水分量が違うのでそれぞれ調整して下さい

最後に残す茹で汁が足りなくなればお湯を足して下さい

 

〈お味噌作り〉

〈大豆の準備〉で茹でた大豆すべて

大豆の茹で汁 1300ccほど

米糀 2升

塩 546g

 

(作り方)

〈大豆の準備〉

・前々日に大豆を洗って浸水しておく

・前日につけておいた大豆をザルにあけ水を捨て 大豆だけをそっと鍋に入れ 茹でる用の水を入れて煮る

沸騰してきたら火を弱め アクを取る

・アクがおさまれば落し蓋をして1時間ほどコトコト茹でる

・一粒出して確認し 大豆が柔らかく煮上がったら大きなボウルにザルをセットし 鍋の中をあけて大豆と煮汁に分ける

煮汁はお味噌仕込みの時に使う分量より多めに残してそのまま冷ましておく

・大豆をだいたい潰しておく

指でも潰れるくらいの柔らかさなので ビニール袋に入れて 上から押せばだいたい潰れます

〈お味噌作り〉

・当日 大きな桶に米糀を入れ塊をバラバラとほぐす

我が家のお味噌はたくさん捏ねて作るので ボウルよりは底が平らな方がいいと思います

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・塩を入れ 米糀とよく混ぜ合わせるf:id:habbule-no-neko:20201129155913j:image

・潰した大豆を入れ 茹で汁も半分ほど入れて全体を混ぜ合わせるf:id:habbule-no-neko:20201129155941j:imagef:id:habbule-no-neko:20201129160004j:image

馴染むまで全体を捏ね合わせる

両手で 右手は右の端から 左手は左の端から真ん中に材料を持ってきて合わせて 両方の親指の側面をあわせながら底に押し付けるように手の腹で味噌をすり潰し それをまた左右からあわせて上から底面に向けて押し付けるようにすり潰し また。。というように材料を両手で盛り合わせて押し付けて潰す動作を繰り返す

奥から始めて手前まできたら また同じように繰り返し 捏ねてこねて 捏ねるf:id:habbule-no-neko:20201129160132j:image

最初はこんな感じ

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だんだん混ざってきたけれど まだまだ

茹で汁を加えていき 調整していきます

こちらが出来上がり

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途中 フゥ〜(汗)とか休憩をいれながら30分ほどこねると たたくと手に吸い付くようなペタペタした赤ちゃんの肌みたいな感じになります

お味噌から優しさを感じたら出来上がり♪

壺に入れて 家の中の一番寒い場所で一ヶ月寝かせます

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寝かせる用の壺をキレイに拭き上げます

壺に入れる時は空気が入らないように お味噌を叩きつけて入れていきます

ある程度の大きさにまとめて エイヤっと壺に投げ入れます

そうすると中の空気が抜けて雑菌がわきにくくなります

全部入れ終わったら 最後に上からペタペタと押し付けて平らにならします

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壺の内側をもう一度キレイに拭いて 雑菌が繁殖しないようにします

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必ず「大安にお味噌を作る」と決まっていて その日に糀を取り寄せて 大豆を2日前から水に浸して準備します

美味しく出来ますように とお目出度い水引で口をしばります

11月中旬から下旬に仕込んで 一ヶ月たった12月中旬から下旬に壺の中からお味噌を取り出します

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少量づつミキサーなどでさらにまろやかになるようにすり潰してやっと完成です

私はバーミックスでするのですが これだとあちこち飛び散って最後は部屋中大掃除になります

義母は蓋を上から押してスイッチを入れるタイプのミキサーでするとのこと

これだと飛び散らない けど いずれのミキサーも粘性によっては 回しているうちにオーバーヒートすることもあるので 少量づつゆっくりやるのが一番のコツです

苦労して出来上がったお味噌がこちら♫

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出来上がりは1年間冷蔵庫で保管するか 一番寒いところで保管し 暖かくなってきたらカビが生えないように冷蔵庫に入れて保管して下さい

義母から受け継いだレシピには

基本

糀1升:大豆2合:塩1.5合弱:大豆煮汁杓1杯弱

2升の時

糀2升:大豆4合:塩2合8石:大豆煮汁杓に2弱

3升の時

糀3升:大豆6合:塩:4合5石弱:大豆煮汁杓3弱

とあります

「杓」というのは、義母の持っている杓

昔からその杓ですくって調整してきたので ちゃんと何ccかはからずにだいたいで作ってきて 今回レシピをおこすのに初めて量ってみました(笑)

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代々作り続けてきたお味噌

この木桶は義母が嫁いで来たときにはすでにあったもの

毎年 寒い季節に母たちが紡いできた想いが繋がっている木桶です

一ヶ月寝かせたお味噌は はんなりした白味噌

京都の白味噌のように甘くなく 赤味噌のように塩辛くなく 大豆の風味が糀と合わさってなんともいえないはんなりしたお味です

出来上がったお味噌を 年末に一度お味見して いよいよ迎えるお正月

新味噌で一年の始まりを神様に感謝するお雑煮を お精進のお出汁で作ります

年末についたお餅を生のまま入れてつくる関西のお雑煮

お餅のトロトロと合わさって この日しか味わえない特別のお味です

 

嫁ぐことが決まって何度目かの訪問の際 お夕食をいただいた時に出てきたお味噌汁を飲んで

このお味噌汁を 死ぬまでいただけるのね♫

と 嬉しく思った気持ちが忘れられません

味の好みが同じなのは 私にとって結婚生活の一番の大切なこと

毎食 その時の幸せな気持ちは変わることがありません