前回ご紹介した
大阪市役所本庁舎の東門を出た正面に
東大阪にある「中央図書館」と
中之島にある「中之島図書館」があり
それぞれ専門ジャンルが異なります
中之島図書館では主に
ビジネスに関するものや調査相談
大阪に関するあらゆる分野の資料
和書・漢籍・韓本等の古典籍と
その研究書の収集 保存 および調査相談
などを扱っていらっしゃいます
天満の繁昌亭(落語など楽しめる演芸場)で出演されるような方も昔の大阪の風俗を調べるのに重宝されるようです
館内は写真撮影禁止ですが
玄関ホール周りに関しては許可されています
図書館なのでとっても静か
今度 中之島美術館に
「女性画家たちの大阪」をみにいく予定で
大阪で活躍した日本画の女性の方々に関する本を探しに来ました
2階のカウンターの方に
今は絶版の「島成園と浪華の女性画家」という本をお借りしたいのですがありますか?
とお聞きしましたら
しばらくお待ち下さい とのこと
待つ間も静けさが心地よく
窓際にはかなり歴史のありそうな昔ながらの
温水式ヒーター(デロンギのような形状)がじんわりと部屋を温めてくれていて
外の寒い景色を手をかざしながら眺め
あぁ このまま眠ってしまいたい
と ここまでの寒い道のりに凍えた
私の弱いココロが弱音をはきました
お待たせいたしました と
絶版にもかかわらず
やはりここにはありました
さすがです(笑)
そんな智識の宝庫 中之島図書館は
住友 吉左衛門友純
(すみとも きちざえもんともいと)
によって寄贈された建物です
寿限無の如きお名前なのには理由があります
この方 元は公家出身の西園寺家のご子息
西園寺公望氏は実兄にあたります
住友家の養子となり名を改め吉左衛門
諱(いみな 身分の高い人の本名のようなもの)を友純(ともいと)としたことからこのお名前となりました
海外に視察に行かれ富豪が私財を投じて社会に貢献する姿に感銘を受け 帰国
のちにこの図書館を建築し 蔵書の準備金もつけて大阪府に譲渡しました
建築には彼のこだわりが反映され
建築に3年 費用も当時のお金で15万円の予定が20万に膨らみ完成しました
1904年(明治37年)に
ネオ・ルネッサンス様式の本館が竣工
その後も増改築がなされています
本館は大阪大空襲の戦災を生き延び
1974年 重要文化財に指定されました
本館の設計は野口孫市
旧大阪倶楽部などの名建築を手掛けた方です
本館両翼棟は日高胖(ゆたか)が野口氏亡き後遺志を受け継ぎ完成させます
中之島の建築によく出てくる
ネオ・ルネッサンス様式とは
19世紀前半からヨーロッパで始まり日本を含む世界へ波及した建築様式でずっと以前のルネサンス建築に基づきながら当時の荘厳さや各地の新しい建築方式を織り交ぜたもの
by Wikipedia
ギリシャの神殿様式に基づいて設計されており 神殿建築が持つ宝物庫がイメージとなっているとの話もあるそうです
横から見上げると見えるドームが美しい
このドームは中に入ると下から見上げることが出来ます
どうなってるかはお楽しみ♫
三角の屋根の下にあしらわれているのはデンティル「歯飾り」と言われるもの
右から「大阪図書館」です
1階窓には防犯対策が美しくなされています
正面の階段を上がるもよし
1階にも両側面に入り口があります
階段右手の入り口
返却ポストは階段左手の入り口にあります
どちらからも入ると洗面所に行き当たります
みんなが使う図書館
本を触る前と後に手が洗えるように設置されており 当時としては大変気の利いた設備
現代においても大変有効で
住友氏が視察した海外で見たものなのかしら
案外
日本人ならではの発想なのかなと推察します
外の大階段をあがって正面玄関に入ると
この景色!
当時の大阪の人々はこの美しく知的な空間に圧倒されたのではないでしょうか
正面に架かるのは住友氏の図書館設立への思いを200字にまとめた建館寄附記
下は増築の際のものです
上を見上げるとドームの部分
中心にステンドガラスが嵌め込まれています
壁際右には野神像 左は文神像
人間の野生と知性を表しています
下を見下ろすとエントランス
踊り場の対面には部屋があり入り口の上にはプレートがあります
このプレートはぐるり8枚あり「八哲」
菅原道真 孔子 ソクラテス アリストテレス シェークスピア カント ゲーテ ダーウィンの名が書かれています
入り口を入るとお部屋があり
寄附された住友吉左衛門友純氏が飾られ
かつて使われていたであろう書物棚があります 繊細な彫りが施され絨毯の赤が映されてキレイ
このアーチ型の窓からは大阪市役所東門が見えます
天井の照明も赤に映えます
後日 本を返しに再度伺いました
図書館の方々はみなさん親切で知識も豊富
個人的にいろいろお伺いしたことも
親切に対応して下さり感謝です
そうそう!
2階には素敵なカフェもあります
まだ一度も行ったことがないのですが
いつか行きたい場所
借りた本片手にカフェタイム なんて
通な使い方ではないでしょうか